凝集沈殿+急速ろ過法と自動逆洗付細砂(緩速)ろ過法の比較
浄水プロセス | 凝集沈殿+急速ろ過法 | 自動逆洗付細砂(緩速)ろ過法 | |||
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浄水方法 | 原水中の懸濁成分を薬品により凝集させた後、ろ過層に比較的速い流速で水を通し、ろ材への付着とろ層でのふるい分けによって濁質を除去する作用 | 緩速ろ過法と同様、原水を比較的遅い流速で砂層に通し、砂層表面に増殖した微生物群によって水中の浮遊物質や溶解物質を補足、酸化分解する作用 | |||
適用原水水質の比較 | 濁度 | 高濁度でも100%近く除去可能 | 最高濁度10度以下 | ||
濁度が急激に変動する原水では、凝集剤調整が必要になり無人運転は不可能 | 高濁度原水では逆洗回数が増え処理能力・水質が低下し、2段ろ過装置にする | ||||
急激な濁度変動にも無人運転可能 | |||||
色度 | 天然色度の除去率は50%程度である (無塩素処理) |
あまり取れない | |||
臭気味 | 除去できない | かなりよく除去できる | |||
ABS | 除去できない | ある程度除去できる | |||
フェノール類 | 除去できない | 通常水に溶解する程度なら除去できる | |||
鉄 | 予備処理が必要 | 1mg/L以下なら除去できる | |||
マンガン | 予備処理とマンガン砂が必要 | 鉄より除去が難しい | |||
アンモニア性窒素 | 除去能力なし | 大部分は除去できる | 除去率80% | ||
前塩素処理等、別処理が必要 | |||||
有機物 | 前塩素処理が必要 | 相当程度除去できる | |||
水温 | 低水温では凝集が困難 | あまり影響ないが管路の凍結防止処理が必要 | |||
沈殿池でキャリーオーバーする | |||||
大腸菌群 一般細菌 |
凝集沈殿+急速砂ろ過 | 98% | 除去率がよい 但し、ろ過速度25m/日以下 |
99% | |
生物 | 除去できる種類によってはろ過水に漏出、カビ臭の原因になる | 多量発生すると処理能力が落ち水質が悪化する | |||
ろ過槽覆蓋により藻類の発生を抑制する | |||||
維持管理 | 維持 | 設備定期点検・整備 | 定期点検・整備 | 年1回 | |
機械設備補修・交換 (水没機器が多く、凝集剤を使用するので寿命が短い) |
15年1回 | 年間10%程度の細砂補充 | |||
ろ材交換 | 5~7年1回 | 機械設備補修・交換 | 15年1回 | ||
装置が簡単で補修・交換部品は少ない | |||||
管理 | 薬剤、原水・浄水水質管理 | 見回り程度 | |||
降雨時、濁度変動に伴う凝集剤注入量管理が必要 | |||||
長所 | あらゆる水道原水に採用でき、水量及び水質変動に対応可能 | 薬剤を使用しない浄化方法、シンプルな設備、全自動運転のため、管理及び排水処理が容易で安価 | |||
停止後の運転再開時、沈殿効果は直ちに回復する | 緩速ろ過法に準じ、溶解性有機物が除去でき水質がよい | ||||
設置面積は装置の立体化が可能で比較的小さい | 2段ろ過では原水濁度の許容範囲が広い | ||||
フロック形成・凝集・沈殿は、攪拌機・傾斜管等で確実にできる | 緩速ろ過よりろ過速度が速く設置面積が小さくできる | ||||
短所 | 薬品注入による凝集沈殿処理は、熟練経験を必要とする | 濁度が上がると洗浄回数が増加し、1段ろ過では水質の維持が困難になる | |||
薬品費(凝集剤・アルカリ剤)や電力費が高額 | |||||
急激に濁度変動する河川表流水などの原水では、無人運転は困難 | 原水濁度が10度を超える場合、2段ろ過にする必要がある | ||||
薬品を使用するため、洗浄排水、汚泥設備が必要 | |||||
処理によっては、産業廃棄物処理が必要 | 冬季の凍結対策が必要である | ||||
山間部小規模水道適用評価 | 建設費 | 高価 | × | やや高価 | △ |
敷地 | 小さい | ○ | 小さい | △ | |
維持管理費 | 高価 | × | 安価 | ○ | |
日常管理 | 降雨時の薬剤管理が必要 | × | 無人運転 | ○ | |
適用原水水質 | 水質の変動が少なければ適する | △ | 適する | ○ | |
総合評価 | 無人運転では水質事故の恐れがある | × | 建設費がやや高価だが維持管理費が安い | ○ |